「美容室を経営していて、利益が思うように出ないのはなぜ︖」
「経費の割合が多すぎるのでは︖」
「どのくらいの売上と経費の割合が適正なの︖」
もしかしたら、あなたはこんな悩みを抱えているかもしれません。
経費は、売上を上げるために必要不可⽋なものです。しかし、経費の割合が⾼すぎると、せっかくの売上が経費で消えてしまい、利益が出ない状況に陥ってしまいます。
特に、美容室経営では、設備投資や⼈件費などの経費がかさみがちです。経費の適正な割合を把握し、無駄な⽀出を削減することが、安定した経営につながります。
確定申告の際にも、適切な経費計上は⽋かせません。経費の仕訳を間違えたり、必要な領収書を保管していなかったりすると、税務調査のリスクが⾼まります。
この記事では、美容室経営者のための「売上と経費の割合」について、詳しく解説します。経費率の計算⽅法や業界平均、節税のコツなど、経営に役⽴つ情報が満載です。
正しい経費管理で、あなたの美容室経営に⿊字の光を当ててみませんか︖ぜひ、この記事を参考に、⼀歩先の経営⼒を⾝につけましょう。
経費率とは︖売上に占める経費の割合を理解しよう
経費率の計算⽅法と具体例
経費率は、売上に対する経費の割合を⽰す重要な経営指標です。この数値を把握することで、売上に対してどのくらいの経費がかかっているのかが明確になります。経費率の計算⽅法は⾮常にシンプルで、「(経費÷売上)×100」で求められます。
たとえば、あなたが美容室を経営していて、年間の売上が1,000万円、経費が800万円だったとします。この場合、経費率は「(800万円÷1,000万円)×100」で80%となります。つまり、売上の80%が経費として使われているということです。
経費率は業種によって差があるので⼀概には⾔えませんが、この割合があまりに⾼いと利益が出にくくなってしまいます。美容室の場合、仕⼊れや⼈件費などで経費がかさみやすいので、売上を伸ばしつつ、無駄な経費を削減していくことが重要だと⾔えるでしょう。
経費率が⾼いと何が起こる︖会社経営への影響
経費率が⾼いと、利益が出にくくなるだけでなく、会社経営にも⼤きな影響を及ぼします。経費が売上を上回ってしまうと⾚字になり、最悪の場合は倒産のリスクもあります。
また、経費率が⾼いと、会社の資⾦繰りも苦しくなります。売上はあっても、そのほとんどが経費で消えてしまうため、⼿元に残るお⾦が少なくなってしまうのです。これでは、設備投資や⼈材育成など、会社の成⻑に必要な投資ができなくなってしまいます。
さらに、経費率の⾼さは、会社の信⽤にも関わってきます。経費率が⾼い会社は、「経営が効率的でない」「利益を出す⼒が弱い」と評価されてしまい、取引先や⾦融機関からの信⽤を失うことにもつながりかねません。
だからこそ、経営者は常に経費率を意識し、適切な⽔準に保つように努める必要があるのです。
業種別の経費率の⽬安と売上⾼経費率の平均値
すでに述べたように、経費率は業種によって差があります。たとえば、美容室のような労働集約型の業種は、⼈件費の割合が⾼くなるので、経費率も⾼めになる傾向にあります。⼀⽅、IT企業のような知識集約型の業種は、⼈件費の割合が相対的に低いので、経費率も低くなりやすいと⾔えます。
ここでは、いくつかの業種別の売上⾼経費率の平均値を⾒てみましょう。
・⼩売業︓約20〜30%
・飲⾷業︓約25〜35%
・製造業︓約70〜90%
・サービス業︓約35〜75%
・情報通信業︓約60〜65%
業種によって経費率の平均値には⼤きな開きがあることがわかります。もちろん、同じ業種でも企業によって差はありますが、この平均値を⼀つの⽬安としつつ、⾃社の経費率を分析していくことが⼤切です。
また、こうした業界平均を把握しておくことで、⾃社の経費率が⾼いのか低いのかを判断する材料にもなります。もし同業他社と⽐べて経費率が⾼めだと分かれば、経費の⾒直しや売上拡⼤に向けた対策を講じるきっかけにもなるでしょう。
個⼈事業主の経費はいくらまで︖上限や適正な割合を解説
個⼈事業主の⻘⾊申告と⽩⾊申告の経費計上の違い
個⼈事業主が確定申告をする際、経費計上のルールは⻘⾊申告と⽩⾊申告で異なります。⻘⾊申告は複式簿記による記帳が必要ですが、経費として計上できる範囲が広いのが特徴です。⼀⽅、⽩⾊申告は簡易な記帳で済む代わりに、経費計上できるものに制限があります。
たとえば、⻘⾊申告では30万円未満の少額減価償却資産を⼀括で経費として計上できますが、⽩⾊申告では10万円以上の備品は減価償却しなければなりません。また、⻘⾊申告では⾃宅を事務所として使⽤している部分の経費を按分して計上できますが、⽩⾊申告ではその部分が事業⽤であることの証明が難しいため、計上が認められないこともあります。
こうした違いを理解して、⾃分に合った申告⽅法を選ぶことが⼤切です。⻘⾊申告の⽅が節税効果は⾼いですが、記帳の⼿間がかかるので、規模の⼩さい事業では⽩⾊申告の⽅が負担が少ないかもしれません。
個⼈事業主が経費として計上できるもの・できないもの
個⼈事業主が経費として計上できるものには、次のようなものがあります。
・仕⼊れや材料費
・⼈件費や外注費
・家賃や⽔道光熱費(按分計算が必要)
・旅費交通費や通信費
・減価償却費
・広告宣伝費
・接待交際費
・消耗品費
・図書費や新聞代
など
ただし、経費計上には注意が必要です。たとえば、美容室を⾃宅で開いている場合、家賃や⽔道光熱費は事業に使⽤している部分だけが経費になります。按分計算を適切に⾏わないと、経費が認められないこともあるので気をつけましょう。
⼀⽅、以下のようなものは、個⼈的な⽀出と⾒なされ、原則として経費にはできません。
・個⼈的な⾷事代
・⾃家⽤⾞の維持費(事業専⽤⾞でない場合)
・家族旅⾏の費⽤
・贅沢品の購⼊費
など
使途が不明確なものや、明らかに個⼈的な⽀出は、経費として認められません。経費として計上する際は、その妥当性を常に意識することが⼤切です。
個⼈事業主の経費計上における注意点
経費計上を適切に⾏うには、いくつか注意すべき点があります。まず、帳簿をつけて⽀出を記録し、領収書などの証拠書類を保管しておくことが重要です。税務署から経費の妥当性を確認されることもあるので、いつでも説明できるよう、書類の管理を怠らないようにしましょう。
また、経費は売上の5〜6割程度に収めるのが⽬安だと⾔われています。経費が売上の⼤部分を占めてしまうと、「経費を⽔増ししているのではないか」と疑われ、税務調査を受けるリスクが⾼まります。
さらに、個⼈事業主は税⾦の還付を狙って、必要以上に経費を計上する誘惑に駆られるかもしれません。しかし、脱税まがいの⾏為は厳禁です。仮に発覚した場合、延滞税や重加算税を課されるだけでなく、信⽤を失墜するダメージは計り知れません。
適正な経費計上は、健全な経営を維持するための⼤前提です。帳簿の記帳をマメに⾏い、疑問点があれば専⾨家にも相談しながら、ルールに則った確定申告を⼼がけてください。
経費率を改善する⽅法と利益率アップのための具体的な⼿法
売上を伸ばすための効果的なマーケティング戦略
経費率を改善するには、経費を減らすことと同時に、売上を伸ばすことも重要です。売上が増えれば、経費率を下げることができるからです。ここでは、売上アップのための具体的な⽅法をいくつか紹介します。
まず、ターゲットを明確にして、そのニーズに合った商品やサービスを提供することが⼤切です。美容室の場合なら、どのような客層をターゲットにするのか、どんなスタイルやメニューを売りにするのかを明確にしましょう。漠然と営業するのではなく、ターゲットを絞ることで、効果的なマーケティングが可能になります。
次に、SNSやホームページなどを活⽤して、⾃社の魅⼒を積極的にアピールしていきましょう。ビフォーアフターの写真を載せたり、スタッフのプロフィールを紹介したりと、お客様に選ばれるための⼯夫を凝らします。クーポンを発⾏するのも、新規客を呼び込む有効な⼿段です。
また、既存客の満⾜度を⾼め、リピーターを増やすことも重要です。料⾦以上のサービスを提供し、店内の雰囲気を整え、スタッフの接客レベルを上げることで、お客様から「また来たい」と思われるお店づくりを⽬指します。⼝コミで評判が広まれば、売上アップにつながるはずです。
無駄な経費の⾒直しとコスト削減のポイント
売上を伸ばすだけでなく、無駄な経費を削減することも重要です。経費の中には、削減の余地があるものが少なくありません。ここでは、経費⾒直しのポイントをいくつか紹介しましょう。
まず、仕⼊れ価格の⾒直しです。美容室なら、シャンプーや化粧品などの仕⼊れ先を⾒直し、よりコストパフォーマンスの⾼い商品を選ぶことで、経費を削減できるかもしれません。⼤量発注やまとめ買いで割引を受けるのも⼿です。
次に、⼈件費の⾒直しも検討しましょう。アルバイトやパートの活⽤、効率的なシフト管理などで、⼈件費を抑えることができます。ただし、サービスの質を落とさないよう、適材適所の⼈員配置を⼼がけることが⼤切です。
また、光熱費や通信費など、固定費の⾒直しも有効です。LED照明への切り替え、⼩まめな節電・節⽔、通信プランの⾒直しなど、⼩さな積み重ねが⼤きな効果につながります。
無駄な経費を削減することで、利益率を⾼め、経費率を改善することができるのです。
⼈件費の適正化と⽣産性を上げる⼈員配置
サービス業である美容室にとって、⼈件費は⼤きな経費項⽬の⼀つです。適正な⼈件費の管理は、経費率の改善に直結します。
まず、スタッフの能⼒を最⼤限に引き出すことが重要です。教育研修を充実させ、スタッフのスキルアップを図ることで、⼀⼈ひとりの⽣産性を⾼めていきましょう。また、得意分野を⽣かした業務分担や、チームワークの向上も、全体の⽣産性を上げるポイントになります。
次に、繁閑に合わせた⼈員配置も⼤切です。閑散期には⼈員を減らし、繁忙期には増やすなど、需要に応じた柔軟な対応が求められます。アルバイトやパートの活⽤も選択肢の⼀つでしょう。
さらに、⼈件費を上げすぎないことも重要です。スタッフのモチベーションを保ちつつ、売上に⾒合った適正な⽔準に抑えることが理想です。給与体系の⾒直しや、歩合制の導⼊なども検討に値するかもしれません。
⼈は経営における最も重要な資源です。⼈件費の適正化は、単なるコスト削減ではなく、⼈材の育成と働きやすい環境づくりを通じて、salon全体の⽣産性を⾼めていく取り組みだと⾔えます。
個⼈事業主のための節税対策と賢く経費を使って税⾦を減らす⽅法
少額減価償却資産の特例を活⽤する
美容室を開業したり、設備を充実させたりする際には、多額の投資が必要になることがあります。その際、上⼿に節税するための⽅法が「少額減価償却資産の特例」です。
この特例は、30万円未満の事業⽤資産を、取得年度に⼀括で経費として計上できる制度です。通常は数年かけて償却しなければならないところを、⼀度に経費にできるのが⼤きなメリットです。
たとえば、美容室の開業に際し、30万円のセット椅⼦を購⼊したとします。少額減価償却資産の特例を適⽤すれば、その30万円を丸々経費にできるので、税⾦を⼤幅に抑えられます。この特例は、年間の合計額が300万円までなら利⽤可能です。
少額減価償却資産の特例を有効に活⽤することで、初期投資の負担を軽減し、キャッシュフローを改善することができるのです。税⾦対策の有効な⼿段の⼀つと⾔えるでしょう。
⾃宅兼事務所の経費の割り振り⽅
美容室の経営者の中には、⾃宅の⼀部を美容室スペースとして活⽤している⽅も少なくありません。その場合、家賃や⽔道光熱費を経費に計上する際は、⾃宅部分と美容室部分の按分が必要です。
按分⽅法は、⾯積按分が⼀般的です。たとえば、⾃宅が50坪で、そのうち10坪を美容室に使⽤しているなら、家賃や⽔道光熱費の5分の1を経費として計上できます。按分の根拠を明確にし、税務署に説明できるようにしておくことが⼤切です。
また、⾃宅と美容室部分の経費を分けて管理することをおすすめします。⽔道光熱費なら、メーターを別にするなどの⼯夫も有効でしょう。
適切な按分を⾏うことで、無駄な経費計上を避け、税務リスクを軽減することができます。確定申告の際は、按分の根拠資料もしっかりと準備しておきましょう。
開業時の経費計上
美容室を開業する際には、内装⼯事や設備購⼊など、多額の費⽤がかかります。これらは開業費として、開業年度の経費に計上することができます。
開業費には、次のようなものが含まれます。
・美容室の内装⼯事費
・美容機器の購⼊費
・看板製作費
・ホームページ製作費
・開業のための広告宣伝費
など
これらの費⽤は、開業年度の確定申告で経費として申告することで、税⾦を⼤幅に節約できます。開業初年度は売上が少なくても、開業費を経費にできるので、⾚字決算でも問題ありません。
ただし、開業前の準備期間に⽀出した費⽤は、開業費ではなく⽀払時の所得から控除することになるので注意が必要です。また、開業費の対象となる費⽤は、事業のために直接必要なものに限られます。開業パーティーの費⽤など、節税⽬的で必要以上の⽀出は控えましょう。
開業時の経費計上を適切に⾏うことで、創業初年度の資⾦繰りを改善し、早期の⿊字化を⽬指すことができるのです。
経費率と売上の関係を分析して経営改善に役⽴てる
損益分岐点分析で売上⽬標を設定する
経費率を把握したら、次は損益分岐点を分析し、売上⽬標を設定しましょう。損益分岐点とは、売上と費⽤が等しくなる売上⾼のことです。この売上⾼を上回れば⿊字になり、下回れば⾚字になります。
損益分岐点は、次の計算式で求められます。
損益分岐点=固定費÷(1ー変動費率)
美容室を例に考えてみましょう。家賃や⼈件費などの固定費が⽉50万円、変動費率が売上の40%だとします。この場合の損益分岐点は、
50万円÷(1ー0.4)=83.3万円
つまり、⽉の売上が83.3万円を超えれば利益が出る計算になります。逆に⾔えば、83.3万円に満たない⽉は⾚字になってしまうということです。
この損益分岐点を基準に、⽬標とする利益を上乗せして、売上⽬標を設定します。たとえば、⽉10万円の利益を上げたいなら、売上⽬標は93.3万円になります。
このように、損益分岐点分析を⾏うことで、採算ラインを把握し、明確な売上⽬標を⽴てることができます。⽬標に向けて、集客⽅法や価格設定を⼯夫していきましょう。
経費率の推移を⾒る⻑期的な視点での経営状態チェック
経費率は、⽉次や年次で変動します。売上の増減や、設備投資の有無などによって、⼤きく上下することがあります。だからこそ、経費率は⻑期的に把握し、分析することが⼤切です。
たとえば、過去3年間の経費率の推移をグラフ化してみましょう。右肩下がりなら経営効率が改善している証拠ですが、右肩上がりなら要注意です。特に、売上が伸びているのに経費率が上がっているようなら、コスト管理に問題があると⾔えます。
また、同業他社との⽐較も有効です。経費率が⾼めの企業は、どこにコストがかかっているのか、改善の余地はないか、検討する必要があります。
さらに、経費率と売上⾼営業利益率を組み合わせると、より深い分析ができます。売上⾼営業利益率は、売上に対する営業利益の割合を⽰す指標です。この2つの指標をマトリクス化することで、⾃社の位置づけを把握し、改善のヒントを得ることができるでしょう。
経費率は、経営の⽣命線とも⾔える重要な指標です。⻑期的な視点を持ち、多⾓的に分析することで、経営改善に役⽴てていきましょう。そのために、⽇々の記帳と帳簿の整理は⽋かせません。⾯倒でも、コツコツと続けることが⼤切です。
数字に強い経営者になって、賢く、強い美容室経営を⽬指しましょう。
美容室経営における売上と経費の割合のまとめ
この記事では、美容室経営における売上と経費の割合について詳しく解説してきました。
経費率は、売上に占める経費の割合を⽰す重要な指標です。この数値を把握し、適正な⽔準に保つことが、健全な経営につながります。
美容室は、設備投資や⼈件費などの経費がかさみがちな業種ですが、無駄な⽀出を削減し、売上アップに努めることで、経費率を改善することができるでしょう。
確定申告の際は、適切な経費計上を⼼がけることが⼤切です。帳簿をつけ、領収書を保管し、税務署に説明できる体制を整えておきましょう。
損益分岐点分析や、⻑期的な経費率の把握など、さまざまな⾓度から経営状態をチェックすることで、より強固な美容室経営を実現できるはずです。
| 項⽬ | ポイント |
|---|---|
| 経費率の計算⽅法 | (経費÷売上)×100 |
| 経費率の⽬安 | 業種によって異なるが、売上の5〜6割程度 |
| 節税のコツ | 少額減価償却資産の特例や⾃宅兼事務所の按分など |
| 確定申告の注意点 | 帳簿の記帳、領収書の保管、適切な経費計上など |
